大学生の頃、友人に「rereちゃんは森茉莉によく似てるね」と言われたことがある。なんでも、お金もないのに贅沢人の心持ちで満足に過ごしているように見えるのだそう。
満足していたか記憶にはないけど、確かに贅沢への憧れはあった。多分あれが欲しい、これが素晴らしいなどとモノへの欲や憧れを恥ずかしげもなく語っていたんだろうな。
で、森茉莉という人に興味を持った私は、当時文庫を買ったものの、最初の数ページで脱落。社会人になり再度購入するも、再び脱落。毎回、個性的で独特の世界観になかなか入り込めなかった。
そして5年ほど前にもう1度チャレンジしてみたくなり、古本で手に入れたのが、この箱付きの1冊(新潮社1992年第14版)。これはもうね、読まなくてもいいかな。この佇まいだけで所有欲がすっかり満たされてしまった。でも、大学時代にはすでに森茉莉に触れていた友人がちょっと羨ましく、そこに追いつきたい気持ちをずっと心に燻らせている…